33 子音×7 母音=231 音節文字。3,000 年の歴史を持つアフリカ最古の文字体系の一つ。
Africa has been designing for 5,000 years.
The world is finally starting to look. — Saki Mafundikwa, "Afrikan Alphabets" (2004)
1980 年代のガーナで、ビデオ映画上映用に職人が手描きで制作した巨大な布製ポスター群。VHS から想像で再構成された、独自の解剖学的・色彩的・物語的解釈は、世界の現代美術界を驚かせた。Rambo、Terminator、Spider-Man、Bruce Lee ── ハリウッドのキャラクターが、アフリカの想像力で再生成された奇跡的な民衆芸術。
2000 年代以降、Brooklyn Museum、Museum of Vernacular Art などで展示され、Stephen Frears や Steven Yeun のコレクション対象に。手描きアフリカン・ポップアートとして、グラフィックデザイン史の独立した一章を形成している。
アフリカ大陸のグラフィックデザインを語ることは、5,000 年の視覚文化史を語ることである。エジプトのヒエログリフ、エチオピアの Ge'ez 文字、Tifinagh アルファベット (北アフリカ Berber)、Vai 音節文字 (リベリア)、Adinkra 象徴 (ガーナ)、Bògòlanfini (マリの泥染テキスタイル)、Ndebele 家屋装飾 (南アフリカ)、Kuba 王国の編模様 (コンゴ) ── これらは「グラフィックデザイン」という現代用語のはるか前から、アフリカの日常を満たしてきた視覚言語群である。
20 世紀後半、ジンバブエの Saki Mafundikwa が ZIVA (Zimbabwe Institute of Vigital Arts) を 1998 年に設立し、若いアフリカ人デザイナーに 「自分たちの視覚遺産を学べ」 と呼びかけた。彼の著書『Afrikan Alphabets』(2004) は、アフリカ大陸固有の文字と象徴 30 種を体系的に紹介し、世界中の AGI 会員に衝撃を与えた。
21 世紀の現在、Lagos (Nigeria)、Accra (Ghana)、Nairobi (Kenya)、Dakar (Senegal)、Cape Town / Johannesburg (South Africa) を中心に、新世代のデザイン・スタジオが急速に成熟している。Afrobeats のアルバム・ジャケット、Netflix のアフリカ作品、Black Panther の Wakanda 美術、Burberry や Louis Vuitton とのコラボレーション。アフリカは 受信地 から 発信地 へ位相を変え始めている。
33 子音×7 母音=231 音節文字。3,000 年の歴史を持つアフリカ最古の文字体系の一つ。
北アフリカ Berber 民族の伝統文字。モロッコ・アルジェリア政府が公式に採用、現代に復活。
Momolu Duwalu Bukele が 1833 年に発明した音節文字。「文字を発明した個人」が記録されている稀な事例。
厳密には文字ではなく象徴体系。約 80 個の図形が抽象概念 (知恵、忍耐、団結) を表す。
Sultan Ibrahim Njoya が発明した文字。当初 1,000 字以上の象形文字、後に 80 字の音節文字に簡略化。
古代エジプトの絵文字。世界最古のアフリカ大陸産文字体系。書道としても 3,500 年使われた。
Souleymane Kanté が 1949 年に発明、Mande 諸語を表記。現在 Unicode 収録、西アフリカで広く使用。
Barry 兄弟が Fulani 語のために 1989 年に設計。2016 年 Unicode 収録、Microsoft が Windows に採用。
ジンバブエの教育者・著者。Yale でデザインを学び、帰国して 1998 年 ZIVA (Zimbabwe Institute of Vigital Arts) を設立。著書『Afrikan Alphabets』(2004) は世界中の AD に衝撃を与えた、アフリカ・グラフィック復権の起爆点。
南アフリカ・Durban のデザイナー。1995 年雑誌『i-jusi』(零号誌) を創刊し、各号毎に異なる実験的タイポグラフィで世界の注目を集めた。Cape Town の Mister Walker スタジオを主宰。
シエラレオネ生まれ、ロンドン拠点。Adobe、Apple、The Guardian の AD を経て、Mòsu Studio 共同創設。アフロ・ディアスポラの視覚言語をブランディングへ翻訳する次世代の代表。
南アフリカ Cape Town 拠点のイラスト・グラフィックスタジオ。Coca-Cola、Adidas、National Geographic、Apple のキャンペーンで国際的評価。アフリカン・パターンと西洋ポップを融合する代表格。
ナイジェリア Lagos 拠点。GTBank、MTN、Burna Boy、Wizkid のヴィジュアル・アイデンティティ。Afrobeats 文化のヴィジュアル・コードを世界市場に向けて翻訳する立役者。
モロッコ生まれロンドン在住の写真家・デザイナー。"the Andy Warhol of Marrakech" と呼ばれる、ポップアート × アラブ・アフリカ伝統工芸の融合。Cartier、Vans、Apple のコラボレーション。
アフリカ最大の経済圏。Afrobeats と Nollywood 映画を世界に発信。デザインは Olu Adigwe、Mòsu、Black Beard などが牽引。
Design Indaba カンファレンス、Studio Muti、Garth Walker。Apartheid 後のヴィジュアル・アイデンティティ再構築の最前線。
Adinkra 象徴の現代復権。Ghana Movie Posters の歴史的遺産を継承。Chale Wote 街頭芸術祭が世界に注目。
Dak'Art Biennale (1992—) が西アフリカ現代美術の中心。フランス語圏アフリカ・グラフィックの結節点。
アフリカ大陸が世界に手渡している (現在進行形で) ものは、「グラフィックデザインの起源を 5,000 年遡る方法」 である。20 世紀のデザイン史は、欧米モダニズム + 戦後日本という極めて狭い地理的範囲で語られてきた。Saki Mafundikwa らの世代は、その物語の根本的書き直しを世界に要求している。
もう一つの遺産は、「ハイブリッドではなく、複数性そのもの」 という発想である。54 か国・2,000 言語・数十の固有文字。アフリカ・グラフィックは「単一の表現」を追求しない。Ge'ez、Tifinagh、Adinkra、Adlam、Vai ── 各々の文字と象徴が、それぞれの言葉と地域に貢献し続けている。これは「Helvetica で世界統一」という 20 世紀の発想に対する、根本的アンチテーゼである。
21 世紀後半、アフリカ大陸の人口が 25 億人を超える時、グラフィックデザインの世界規範を決定するのは Lagos、Accra、Nairobi、Dakar であるかもしれない。WhatsApp、TikTok、Spotify、Apple がいま積極的にアフリカン・タイポグラフィを実装しつつある事実は、その未来の前兆として読める。デザインの次の千年はアフリカから始まる。
Series IX は世界各国・地域のグラフィック文化を巡る 15 巻の旅でした。Polska の連帯ポスターから始まり、Nederland の合理性、Italia の優雅、日本の余白、Schweiz のグリッド、Deutschland の責任、UK の機知、USA の実験室、Cuba の革命、México の同心円、Scandinavia の lagom、中国の漢字、한국の한글、Hong Kong のハイブリッド、そして Africa の 5,000 年。
15 の窓から眺めた世界のグラフィックデザインは、決して 1 つの「国際標準」に収斂しない、豊かな複数性として広がっていました。
Polska
Nederland
Italia
日本
Schweiz
Deutschland
UK
USA
Cuba
México
Scandinavia
中国
한국
Hong Kong
Africa