静けさ という贅沢。
近隣 5km 圏内の 30 件の珈琲店を訪問・観察。チェーン店は混雑、独立店は若者向けの個性派が多い。「落ち着いて 30 分過ごせる店」が圧倒的に少ないという機会発見。
「急がない珈琲店を作りたい」── 創業者の一言から始まったプロジェクト。チェーン店でもなく、観光客向けでもなく、近所の人がゆっくり通える静かな場を目指す。
立地は神保町の古書店街、雑居ビルの 1 階。客単価 700–1200 円、平日昼間と週末のテイクアウト中心。豆はエチオピア・ケニア・コロンビアを中心とした シングルオリジン。
視覚的な狙いは 「品格と親しみやすさの両立」。スターバックスのような全国画一でもなく、Blue Bottle のような完璧主義でもなく、古書店街に違和感なく溶け込む静かな存在感。
近隣 5km 圏内の 30 件の珈琲店を訪問・観察。チェーン店は混雑、独立店は若者向けの個性派が多い。「落ち着いて 30 分過ごせる店」が圧倒的に少ないという機会発見。
神保町の主要顧客は出版社員、編集者、研究者、書籍関連業界。彼らは「装幀」「組版」に敏感で、デザインの細部を見抜く。安易なミニマリズムは見透かされる。
"MŌRO" は造語。Italian "moro" (浅黒い)・Japanese "もろい" (脆い)・Latin "mora" (待つ) の三つの意味を交差させる。和洋折衷を音節レベルで実装した。
プロジェクトの全方向性は「Slow as Strategy」と一語で要約された。テイクアウトに最適化された都市の珈琲文化に対して、「待つこと」「読むこと」「滞在すること」を価値の中心に据える。
具体的には:オーダーから提供まで 4 分。Wi-Fi なし、電源なし、雑誌・書籍は店主が選定。店内 BGM はクラシック古楽。マグカップは取っ手付き陶器のみ。
これらの抽象戦略を、視覚的に翻訳することがデザインの仕事。「急かさない」「主張しない」「寄り添う」という三つの動詞を、すべての視覚要素の判断基準とした。
初期案。きれいだが「高級ホテル感」が強く、街の親しみやすさを欠いた。
柔らかすぎる。書店街の「知的さ」と合わない。サインで遠目に読みづらい。
豆を象徴する円とのコンビネーション。意味は明快だが、説明的すぎる。
大小混植 + イタリック「ō」+ 朱の点。和洋折衷を一つのワードマークに実装した 採用案。