VOL · 20
— peace, love, & better posters —
1965 — 1970
San Francisco
>>> FEATURE No.20 — HISTORY / Psychedelic & Pop <<<

Psychedelia + pop art

— flower power — 1965 to 1970 —

Swiss の 合理 に対する、花の革命

— Where

San Francisco / Haight-Ashbury / Fillmore Auditorium / Avalon Ballroom

— Why

ベトナム反戦、LSD、ロック、市民権運動 — 戦後体制への全方位的な反逆。デザインも例外ではなかった。
01

Five Years
That Burned Fast.

— summer of love —

1965 年、合理主義
が投げつけられた。

戦後 20 年、デザインの世界は Swiss Style(Vol. 19)の合理主義に支配されていた。グリッド、Helvetica、左揃え、写真、無装飾。 — それは戦争の混沌から逃れるための「秩序の処方箋」だった。

1965 年、サンフランシスコで全く逆方向の運動が始まる。ベトナム反戦市民権運動LSDロックンロール。Fillmore Auditorium と Avalon Ballroom で行われるロック・コンサートの告知ポスターが、新しい視覚言語の発信源となった。

ハンドレタリング、目を眩ますような渦巻き、不協和な色の組み合わせ、絶叫する文字。これは「読みやすさ」を放棄した最初のデザイン運動だった。Wes WilsonVictor MoscosoRick Griffin ── 彼らはタイポグラフィの規則を、よってたかって解体した。

>>> Burning Hot

  • 1965Fillmore Auditorium が始動
  • 1966Wes Wilson 最初の Fillmore ポスター
  • 1966Avalon Ballroom 開業 (Moscoso, Mouse, Kelley)
  • 1967Summer of Love / Haight-Ashbury
  • 1968Pop Art の頂点 (Warhol, Lichtenstein)
  • 1969Woodstock 音楽祭
  • 1970運動は急速に衰退、商業化へ
02

Visual
Vocabulary.

— four trippy elements —
>>> 01 / Lettering
Wow

Hand-Lettering

— hand-painted, distorted —

活字を捨て、文字を絵として描く。読みづらさを引き受ける代わりに、目を凝らさせる視覚的価値を獲得した。

>>> 02 / Op-Art

Optical Patterns

— hypnotic spirals —

同心円、渦巻き、市松模様、波動。LSD 体験の可視化として、目を眩ます幾何学的パターンが多用された。Op-Art の隣人。

>>> 03 / Color

Clashing Color

— chromatic vibration —

Moscoso の発見。同じ明度の補色を隣接させると、目が「振動」する。可読性を犠牲にして、色そのものに動きを与えた。

>>> 04 / Curves

Curvilinear Form

— flowing, organic —

Art Nouveau (Vol. 16) の蘇り。Mucha の流れる髪は、Wes Wilson の文字へ生まれ変わった。70 年の時を超えた装飾性の復権。

03

Four San Francisco
Masters.

— the Big 5 minus 1 —
Fillmore
Live!
>>> 01 / Wilson

Wes Wilson

— pioneer of psychedelic —
1937 — 2020

Fillmore Auditorium のレジデント・デザイナー。彼が描いた揺らめく文字 — Art Nouveau の Mucha を直接参照 — がサイケデリック・タイポグラフィの原型を作った。

— "Captain Beefheart at the Fillmore", 1966
Vibrate.
>>> 02 / Moscoso

Victor Moscoso

— the chromatic engineer —
1936 —

イェール大学で Albers (Vol. 18) に色彩論を学んだ後、サンフランシスコへ。Albers の科学を「振動する不協和」に転用 ─ アカデミック教育を反逆に変換した稀有な作家。

— "Neon Rose" series, 1967
Grateful Dead
>>> 03 / Griffin

Rick Griffin

— underground comix & rock —
1944 — 1991

サーフカルチャーから出発し、Grateful Dead や Eye Of The Storm のロゴを手がけた。アンダーグラウンド・コミックスとサイケデリックの交差点に立った。

— "Aoxomoxoa" album cover, 1969
Skull & Roses
>>> 04 / Mouse + Kelley

Mouse & Kelley

— the design duo —
1934 — , 1940 — 2008

Stanley Mouse と Alton Kelley のデュオ。Grateful Dead のスカル&ローズのロゴで知られる。19 世紀のヴィクトリアン・スタイルを参照する独特の重厚さ。

— "Skull and Roses" Grateful Dead, 1971
04

Pop Art
— a parallel current.

— consumer culture as raw material —

大量消費 を、
そのまま絵にした。

同じ 60 年代、ニューヨークでは Andy Warhol、Roy Lichtenstein、Robert Indiana らが Pop Art を展開していた。サイケデリックがカウンターカルチャーから生まれた一方、Pop Art は 商業文化そのものを芸術の素材にする 戦略をとった。

Warhol の Campbell スープ缶、Lichtenstein のコミック増幅 (Ben-Day dots)、Indiana の LOVE 彫刻 — どれも「広告と芸術の境界線を溶かす」ことを目的とした。商業デザインの語彙が、美術館の壁に張り出された最初の時代である。

サイケデリックと Pop Art は、外見こそ違うが、同じ反逆性を共有する。Swiss の合理主義 + アカデミックな Modernism への対抗として、1960 年代を通じて並走した。

— SOUP —
— SERIES —
05

Burned out
but never died.

— the legacy —

商業化を経て、
どこにでも 棲みついた。

サイケデリックは 1970 年までにエネルギーを使い果たし、その熱は急速に冷えた。だがその視覚言語は、形を変えてあらゆる場所で生き続けている。

1970 年代の プログレッシブ・ロックのアルバムカバー (Hipgnosis, Roger Dean)、80 年代の MTV ジェネレーションのモーション、現代の 音楽フェスティバル・ポスター (Glastonbury, Coachella) — どれもサイケの遺伝子を内包している。

2010 年代以降は Y2K リバイバルVaporwaveNFT アートAI 生成画像と並んで、再び主流の視覚に浮上した。サイケはどこへも行っていない、ただ眠っていただけ。

>>> Legacy Flow

1970sProg rock album covers (Hipgnosis)
1980sMTV motion graphics
1990sRave / Acid House visuals
2000sBurning Man / Festival aesthetics
2015sVaporwave + Y2K revival
2020sAI-generated psychedelia